2023/10/20 14:50


スパイス香るミルクティーとして日本でも人気のチャイ。本記事では、チャイの歴史や使われているスパイス、インド以外のチャイ文化について紹介します。

日本の「チャイ」はインド式のミルクティー


日本で「チャイ」というと、紅茶(ブラックティー)、スパイス、牛乳、砂糖から作られるインド式のミルクティーを指します。


チャイ(chai)は“お茶”を意味するヒンディー語。よってチャイティーという呼び方は、じつは“お茶・お茶”の意味になってしまいます。


チャイは一般的な紅茶と違い、鍋で茶葉とスパイスを煮出し作るのが特徴。インドでは、露店や屋台の形で毎日多くのチャイ屋が大鍋でチャイを煮出しています。


チャイはお店によってスパイスの配合や砂糖の量が異なります。それぞれの独自のレシピを楽しめるのもチャイの魅力です。

インドのチャイの歴史

インドのチャイ文化のはじまりは、イギリス植民地時代の19世紀頃。当時のイギリスは、インドやスリランカ(当時のセイロン)で大量のお茶を栽培していました。


しかし、リーフタイプと呼ばれる高品質の茶葉はイギリスへ輸出されてしまいます。そこでインドでは、ブロークンタイプやダスト(CTC)と呼ばれる砕かれた茶葉を使った紅茶文化が発展しました。


ブロークンタイプの茶葉の特徴は、早く・濃く抽出できること。ただ、ストレートで飲むには、雑味や渋みがやや強い……。そこで、スパイスやミルク、砂糖をたっぷり加えて美味しく飲める工夫がされたわけです。

チャイに使われる代表的なスパイス


チャイに使われているスパイスは多種多様ですが、よく使われている代表的なスパイスは次の3種類です。


  • クローブ(右上):甘みと苦さが混ざった深く個性的な香り

  • シナモン(中央):甘くてスパイシーな香り

  • カルダモン(左下):爽やかですっと抜けるような品のある香り


インドの露店の作り方を眺めると、だいたいこの3種類を中心として、独自に他のスパイスを追加しています。日本のチャイはジンジャー(生姜)を効かせたタイプが多めですが、本場インドには贅沢にサフランを使ったものもあるとか。


ちなみに「マサラチャイ」という種類もありますが「マサラ」は“複数のスパイスを組み合わせたもの”を意味するので、お店の定番チャイだと捉えてください。


関連記事:濃厚チャイは煮出して作るべし!本格チャイを作るポイントを紹介

世界のいろいろな「chai」文化


インドの「チャイ(chai)」という言葉は中国語の「茶(cha)」に由来します。


そもそもお茶は中国発祥。お茶を「chai」と発音する言語は、ヒンディー語以外にトルコ語、ペルシア語、ロシア語などが挙げられ、各国で独自のお茶文化を発展させています。

トルコのチャイ

砂糖たっぷりの甘いストレートティー。濃く煮出したストレートの紅茶を、別に沸かしたお湯で割って楽しみます。カップではなく、チューリップ型の小さなチャイグラスで提供されるのが特徴です。


トルコはリンゴを乾燥させて作るお茶「エマルチャユ」も有名。酸味と甘味のあるトルコ風アップルティーで、トルコ観光でハマる人も多いお茶です。

イランのチャイ

トルコと同じく、濃く煮出したストレートティーを好みの濃さにお湯で割って飲みます。サフランバナットと呼ばれるサフラン入りの砂糖と一緒に楽しむのが、イラン式チャイの特徴。


ほかにも角砂糖を口に含んだ状態でお茶を飲む人もいるとか。

ロシアのチャイ

ロシアのチャイといえばロシアンティー。ジャムを舐めながらストレートティーを楽しみます。定番のジャムはイチゴやマーマレードですが、なかにはバラのジャムを楽しむ人も。

パキスタンのチャイ

鍋で煮出して作るミルクティータイプのチャイ。カルダモンをメインで入れるレシピが多いですが、家庭によって作り方は違うそうです。


インドのチャイよりスパイスがややマイルド。

モンゴルのチャイ

「ツァイ」とも呼ばれるモンゴル式ミルクティー。中国茶(プーアール茶など)を煮出し、羊やヤギなどの家畜のミルクと塩を加えて楽しみます。寒い時期にはバターを加える場合も。

豊かなチャイ文化を楽しもう


各地で独自に発展してきたチャイ文化。インドのチャイだけ取っても作り方は多種多様で、1つとして同じものはないと言われています。


「一般的なチャイ」「正解のチャイ」がないからこそ面白い!


豊かなチャイ文化の沼に、ぜひハマってみてください。


『真夜中のチャイ』定番チャイもご賞味あれ!




<参考>

FOOD&WINE「What Is Chai and How to Make It

LUPICIA「ルピシアだより」2019年10月号No.285